神田さち子さん堺公演「帰って来たおばあさん」
西南学院大学同窓会関西支部会員各位
「神田さち子さん、堺公演について」
関西支部支部長
井上修一
謹啓
寒さ厳しき折、会員の皆様にはお健やかにお過ごしのことと存じます。
さて表題にあります、西南学院大学66期卒業生の「神田さち子さん、堺公演」についてご案内申し上げます。
神田さんはプロフィールにもありますように、朝倉高校から西南学院大学を卒業し演劇の道へ入られた方です。
小生にとっては高校の先輩でもあり、その関係から今回の「帰ってきたおばあさん」を観る会・事務局長浅田
美奈子さんと知己を得ました。
浅田さんたちが中心になって、6月に神田さんの堺公演を実施されようとしております。そこで、西南学院大学
同窓会関西支部の皆様にもご案内を申し上げますので、ご興味のある方は是非ご参加下さい。
「帰ってきたおばあさん」は、中国残留婦人の半生を一人で演じる芝居で、小生も数年前公演の一部を拝見し
ましたが、不覚にも落涙してしまいました。日本と中国とは現在非常に微妙な関係に至っておりますが、この
芝居には全く政治的な意図は含まれておりません。ただ運命に翻弄された一婦人の生き様を、たんたんと演じ
ておられます。よろしければ一度ご覧下さい。
まだまだ厳しい寒さが続きそうですが、春の訪れを切望する毎日です。皆様にも健康にご留意され、供に暖か
い春を迎えましょう。
謹白
平成25年3月吉日
■ 神田さち子さん プロフィール
朝倉高校・西南学院大学卒業。「神田さち子語りの会」主宰。奈良・東京で後進を育てる傍ら、「車いすの語
り部」との二人三脚の歩みは有名。その体験記が文部大臣賞受賞(1982 年)。自主公演を精力的に行い1994年
一人芝居「筑後川と源じいしゃん」(甘木・朝倉)を上演。語り芝居「帰ってきたおばあさん」(第55回文化
庁芸術祭参加作品)は1996年初演より全国各地で絶賛上演中。1997年、アメリカのジャパンフェスティバル、
名古屋御園座出演、映画「ユリイカ」出演。関西テレビ、RKBテレビ、テレビ埼玉、テレQ、調布ケーブルテレ
ビ、ラジオ東京、NHKラジオ出演。著書に「あなたに伝えたくて」「心のはらっぱ−語り愛つむぐ」「奈良のむ
かし話」「奈良の伝説」ほか。 詳細は、HPをご覧下さい。 http://www.tr3.net/sachiko/
立派な会館でした。700名が入れる会場でしたがほぼ満席でしたね。
副支部長畑田さんも奥さん、娘さんと来てました。
冨永さんも奥様と、他にも永野さん、水野さんもご夫婦でお見えになってました。井上の隣にいるオジサンは、
高校の先輩です。神田さんは朝倉高校のご出身なので、高校同窓会関係者も十数人来てました。
開演前の緞帳と、終了後支援者に挨拶している神田さんです。写真はボケてますが、本人は当然ボケていません。
<観劇後の感想 井上修一>
朝日新聞が褒めているのであまり気乗りはせず、朝倉高校同窓会役員、関西支部長という立場で、半分義理で見
に行った芝居でしたが、一時間半の演技中、全く飽きることがありませんでした。私はミュージカルやコンサー
トは好きで良く行くのですが、退屈だと途中でうつらうつらする事もあります。しかしこの芝居は、演技中涙が
出ずっぱりでした。幸い会場は暗く、恥ずかし思いはしませんでしたが、久しぶりに泣きました。
テーマが重たいし、今の中国と日本の関係を思えば気乗りがしないという人が多かったのではないかと思います
が、この芝居が訴えているものは忘れてはいけないなと感じました。それは、「戦争の犠牲者はいつも力の弱い
庶民がなるのだ。」という事です。
歴史上世界中で、国の政策や社会情勢は、国を挙げて戦争へ突入する事態を幾度も引き起こし、未だに継続して
いる国々も存在しますが、その犠牲はいつも弱い者が引き受けます。戦争を企画し、人々を死地に追いやる階層
の人々は、決して息子を戦場には送りません。
神田さん演じる中国残留婦人は、中国で夫に棄てられた後、多くの中国人に助けられて激動の半生を中国で送り
ますが、庶民同士が戦争をしている訳ではありません。どこの世でも、いつの時代でも、庶民は助け合って生き
てゆくしかないのだと訴えます。
政治的な立場もあるので、この観劇のとらえ方は様々だと思いますが、神田さんが最後の舞台挨拶で言っていた、
「政治的な動きがどうあろうとも、私は日中友好を草の根運動としてやっていくつもりです。」という言葉には
敬意を表します。
もう日本人は戦争を遠く忘れ去って、若い人々は「飢え」の時代を知りません。食べ物もTVも無く、本も無く、
「飢えた時代」はもう知らない日本人の方が多くなっています。若い男女は結婚せず、結婚した一人の女性が産
む子供の数は一人以下です。食糧自給率は40%を切っていますし、就業人口は減り続けています。もし今再び
あの時代が来たら、日本は一体どうなるのでしょう。久しぶりに戦争について考えさせられた一日でした。
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